続サラ金!(1年目下半期)

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9:やっかいな案件かどうかの見極めが大切なんや

外国人国籍からはじまって、競売取得物件、さらには法人所有物件で取締役会議事録となんだか異常にやっかいな案件を抱え込んでしまったのではないかという不安にさいなまれていたが、店長からみれば「直近に競売で1600万円で取引されてるってことは、これほど審査部を安心させる確実な担保評価があるわけだから、その掛け目60%なららくしょー案件だな」というのだ。うへーこんなに面倒な問題があるのにと思っているのは僕だけのようで、店長は「俺が質問してすべて問題は事前に解決してやった」といわんばかりに立ち去ってしまった。お客さんと残された僕はなんだかとっても不安な気持ちだった。

(やっかいな案件を抱えるとあとで大変だからなー。まして紹介料がいらないとはいえ、新規業者からのはじめての案件だから、ここでつまづくと後がないしなー。参ったな)とそんな気持ちでいた。

お客さんも微妙な感じだ。競売物件を転売するなんて不動産業の中でもかなりあやしい山師的な仕事をしているわりには、そんなに裏がなさそうでいい人そうなのだ。先入観が強すぎるのかもしれないが、競売物件の転売専門の不動産業者ってもっとこう裏に秘めた何かっていうか、臭気みたいなものが感じられてもおかしくはないんだけど、この人にはあまりそれがない。もちろんかといって普通の一般人には見えないし。でもヤクザとか占有屋とかとこの人が渡り合って交渉し、競売物件をうまくまとめている姿があまり想像できない。そんなこともあってどうもどこかで引っ掛かるなと思い続けていた。

申し込みはすぐに書き終えた。サラ金の借入は一切ないわりに、金利20%近くで不動産担保で金を借りることには抵抗ないようだ。その辺もどうもわからんなーと思いながら、決定的に何かがいけないわけではなく、それこそ店長のいうように見方を変えたら「こんならくしょー案件ない!」ということかもしれないので、とりあえず慎重に進めてみるかと思った。

10:決裁はすんなり出てもその後が大変や

なんか面倒だなという印象を受けたわりにはすんなりと資料集めや物件調査が終わった。資料は、お客さんが不動産屋だけあって非常に協力的で、個人・法人の納税証明書から、物件の詳細な資料、決算書などすぐに集めてくれた。僕が委任状を持って役所に納税証明書を取りにいくこともなく、全部お客さんが集めてくれたのだ。だから僕がやったことといえば、担保物件の写真撮影、間違いなく担保物件の中が空家がどうかの確認(これももちろんお客さんが立ち会ってくれた)、付近の不動産屋に物件の相場価格を聞く、そのぐらいだった。担保評価は問題なかった。通常この手の物件なら2500万円ぐらいでもすぐ売れるという。中古といってもわりに新しく、都内で交通の便がいいせいか、物件の流通性・換価性に問題はないという。競売物件で、物件取得時に前所有者が居座っていた関係で取得金額がこれだけ相場より安くなったのであって、きちんとリフォームして問題ない状態にすれば評価は2500万円程度で十分だろうとの意見だった。不動産鑑定士の評価も2600万円であがってきて、いくら競売取得価格が1600万円であっても、これだけ評価がよければ、融資希望金額の1000万円はなんら問題なさそうだ。担保評価を1600万円で考えても62.5%の掛け目、もし通常の2500万円という評価で見るならば実に掛け目はたったの40%。らくしょー案件である。

そんでもってお客さんの言う通り、サラ金の借入は一切なし。これも好材料だ。大丈夫かな、競売物件をもう1つ買いたいとかいっていたけど、実は資金繰りが苦しく、サラ金やらクレジットカードやらに手を出してもらって、その返済のために借りるんじゃなかろうかとどこかで僕はうたがっていたのだが、お客さんの信用情報を、いつものように生年月日と名前を入れて照会してみたが、本人の話通り1件もサラ金の借入はなかった。

11:客をうたがうことは貸す側のマナーや

どうも僕はこの会社に入って半年間、さまざまな案件をやり、さまざまなお客さんとすったもんだした経験や岡田先輩や店長などの徹底した性悪説教育が身にしみてきたのか、すっかりお客さんをうたがってかかるくせがついてしまったようだ。それは「人間を信用しないかわいそうな職業」とかそういう問題ではなく、お金を貸す側がいい関係でお金の貸し借りをするための「マナーだ」と岡田先輩はいっていた。貸す側がきちんと返せる人間かどうか見極めて貸せば、バブル崩壊後の銀行の不良債権問題もなくなるわけだし、クレジットカード会社が安易にカード勧誘をせず、やたらめったらキャッシング枠を増大させなければ多重債務者は増えないわけだし、違法業者の過剰貸付による自己破産や自殺などの社会問題の低減にもなるという。なるほど、そういう見方もあるのだなと感心してしまう自分は、すっかりこの半年でこのサラ金業界に染まってしまったのかもしれない。

まあもちろん借りるお客さんをうたがってかかるのは、そんな「マナー」なんていうかっちょいい大義名分だけでなく、実際問題として、お金が絡むと借りる側もお金を借りるために必死になって貸す側を「騙す」傾向が強く、その騙しを見破るためにも、とりあえず何事もうたがってかかるという習慣をつけているだけのことなのだが。確かに貸す側が騙して借りさせてあとで過剰な暴利をむさぼる金融問題が後をたたないが、実はそんなことよりも借りる側が貸す側を騙す事件の方が、ニュースにならないだけで実に多いのだ。実際、うちの会社でも、赤の他人を契約者としてなりすませて担保契約を結んでしまって後で事実が発覚したなんていうほんまものの詐欺事件が、これだけうたがってかかってチェックしていても起きてしまうのだから。

とりあえずこのお客さんはうたがってかかったけど、サラ金の借入がなくてよかった。担保評価も問題なく、資料もばっちりそろい、心配された税金の未納もなく(税金の未納があったら融資金からさっぴいて支払いしなければならなくなる)、ほとんど案件に問題はなさそうだった。唯一心配していたのが、収入源が競売物件の転売しかなく、転売できない間、毎月の返済原資をどうするのかということだったが、自営業者ではなく株式会社としてやっていることもあって、一応書類上は、1人でやっている社長にも毎月の給料という形で30万円ずつ支払っていることになっているので、形式上は問題なさそうだった。

それでも競売物件の転売業者だし、担保物件が競売で落札した物件だし、うさんくささは変わらないよなと思ったが、審査部に稟議書を提出すると、思いのほか簡単に決裁がおりたのだった。

12:てきどにさぼるのが営業のコツや

先輩社員が9月の半期末が終えて、10月はエンジンがなかなかかからないのか、時期的な問題で案件がなかなか入らないのか、上半期に好調だった岡田先輩も清原さんもまだ今月は融資実行案件はなかった。もちろん全店びりのゾウリムシこと野村さんも融資0件。上半期途中からやってきた本部から新宿店に送り込まれた川藤部長からの刺客ともいえる新川さんも、上半期の営業集計作業を店長にやらされていたので、未だ今月は融資0件。僕だけがすでに3350万円1件実行済みで、さらに今回決裁がおりた横手さんが「今月の融資実行予定」というホワイトボードの欄に11000万円と書き加えられたのであった。

「おいおい、今期も随分とばすなー。もうちょっと加減してくれよー」

と悪魔のささやきのように清原さんがいった。

「いえいえ、僕も必死でやらないと清原さんや岡田先輩に負けてしまうので」

「何いってんだよー。ちょっと八木君のこの勢いには勝てんな。悔しいけど。俺は岡田と違って頭がいいからさ、あきらめがいいのと、上半期でよ〜く学習したわけよ。八木君はやっぱただものじゃないな。これに勝とうなんて必死になって仕事をするのはバカだって。そんなことしたってこの会社は給料あげてくれるわけじゃないしなー。ま、てきとーに仕事しててきとーにさぼるのが、短い人生、幸せなんだってことに気づいたわけよ」

すっかりさぼりぐせの清原さんに戻ってしまったようだったが、清原さんも成績があがってくれば上半期のように色気を出して、またがんばろうとするのではないかと思った。

「それよりさー八木君、蓑田主任が不祥事でやめちゃってさ、一緒にさぼって遊んでくれる人がいないわけよ。どう、今日さぼらない?」

「いえ、僕はあのーフーゾクとか遠慮しておきますんでー」

「何いってんだよ、フーゾクは1人でいくからいいよ。それよりもさ、カラオケいかない?カラオケ?」

「カラオケ?ですか」

「最近はまってんのよ、カラオケに。たくろーの曲がいっぱい入っててさ、これがなかなかいいのよ」

「たくろーって…」

「なんだよ、天下のたくろーも知らないのかよ。吉田拓郎だよ。ほんとあいつは今でこそ力がなくなっちゃったけど、若い頃はすごかったんだぜ。俺が20代の頃はさ…」

となんでも凝り性の清原さんの、アツイたくろー談義がはじまってしまったのである。清原さんの話はおもしろくて楽しいは楽しいのだが、仕事中は無駄口1つ許さない店長が近くにいてじっとこちらの様子を見守っているのが僕には気になって気になって仕方がなかった。実は清原さんはそれを知っていてわざとこれみよがしに仕事とは関係ない話をしている風があり、僕としては清原さんにつくか店長につくか板挟みにあっているような状態で、非常に困っていた。清原さんのたくろー談義をとめるわけにもいかず、かといって店長の視線を無視するわけにもいかず…。ところがなぜか店長は清原さんだけは注意できないでいる。それはきっと、取り立て電話の時の清原さんのものすごい剣幕を知っているからなのだとは思うのだが。やはりその点も、取り立て担当である清原さんの「相手になめられたら終わりだ」という金融哲学が生きているのかもしれない。清原さんの有無をいわせぬ迫力ある取り立ては、店長さえ恐れをなして黙らせる効果があるのだから。

「ま、そういうわけで、じゃあ今日はやめておこうか。八木君、暇な時あったらいつでも声かけてよ。俺はいつでも暇だからさ、そしたらカラオケ行こう。平日の昼間入るとサービスタイムでものすごい安いんだよ。新宿に安いカラオケ屋があってさ、なんていう店だったかな…」

まるで学校をさぼる学生のような感覚で目を輝かせて話す清原さんの様子は、とてもこの人がえげつない取り立てをやる同一人物とは思えないなーと妙に感心したりしていたのであった。

13:取締役会議事録が問題なんや

とまあそんなこといっているうちにあっさり決裁が出たので、早速、融資実行の準備に取りかからねばならなかった。しかしこれほどすんなり出るとは夢にも思わなかった。ただ逆にうたがってかかったからこそ、きちんと下調べができ、決裁がスムーズだったのかもしれない。営業担当者がお客をうたがわず、客のいいなりになって稟議書をあげると、審査からつっこまれるのがオチだ。しかし今回、まったく追加調査がなかったのは、僕の段階で客をうたがってかかって、それを1つ1つクリアした上で稟議書を書いたからだろう。

融資金額1000万円、利率17%、返済回数120回で決裁が出たものの、問題は契約条件の1つとなっていた、株式会社横手不動産の取締役会議事録だった。店長が申し込み時に指摘したように、法人所有物件を担保にして社長が個人借り入れする形となるので、それを会社として認めましたという書類がいるのであった。商法上では取締役会の決議は取締役の過半数が出席し、その取締役の過半数を以って決議ができることになっている。株式会社横手不動産の取締役となっているのは6人。代表取締役の横手さん本人は決議の利害関係を有するものとしてぬかし、残り5人のうち3人が出席し、横手不動産名義の不動産を担保に横手さんが借り入れすることおよび、横手不動産がその金銭消費貸借契約の連帯保証人になることを認めましたといった内容の議事録を作成しておかなければならないのだ。うちでも何かあった時のために議事録の控えおよび参加した取締役の印鑑証明書を保管しておくとこういうわけだ。

株式会社横手不動産の実態は横手さん1人でやっている自営業者みたいなものだったから、何をするにも横手さんが判断し横手さんが仕事をすすめていたので、今まで取締役会議事録なんて作ったことはないという。店長はこちらで用意しますといっていたが、僕もはじめてなので、作り方を教わろうと店長に聞いた。

「そこのパソコンに取締役会議事録っていうテキストがあるから、それを使って。そのフォーマットにしたがって、会社名と融資金額と日にちを書きかえるぐらいですぐできるから」

議事録をこちらで作るというから1から文章を作らなければならないのかと思ったら、そんな便利なフォーマットがあるらしい。ということはしょっちゅうこのようなケースが融資する際に発生してるってことなんだろうな。店長のいうとおり、すでにフォーマットがしっかりできているので会社名や融資金額、日にちを変えるだけですぐに作り終えた。

「これをお客さんに3通渡して、取締役3名の署名捺印と印鑑証明書3通添付してもらえれば、あとは通常通り、横手さんと横手不動産と契約して融資実行できる。この取締役会議事録がないと融資できないから、先にこれを作ってもってきてもらって。私がチェックするから」

「取締役会議事録って面倒な書類なんでしょうか?」

「いや、そんなことないよ。取締役ったって別に会社の実務にかかわってる人なんて誰もいないだろうし、単に株式会社を設立する時のために形式上何人か取締役を置かないといけないから、知人に頼んで名義貸ししてもらっただけだろうからね。すぐにできるんじゃないの?」

そんな店長の言葉に安心していたものの、横手さんのケースはそう簡単に運ばなかった…。

14:簡単に印鑑証明書出して実印つく奴はあほや

議事録をこちらで作成して横手さんに送ってから数日たって、電話が掛ってきた。

「あのー、どうしても取締役の署名・捺印は3名でないとだめですか?」

「ええ、そう決まっているので、3名そろわないと困るんですが」

「あのー、1人どうしても頑固な人がいて困ってるんですよ」

「いや、でも別にその人でなくても、他の取締役でもいいんですよ。とにかく会社謄本に記載されている取締役5人のうち3人誰でもいいんですから」

2人はすんなりいったんですけどね、2人は遠方に住んでるんで、ちょっと頼みにくいし、残る1人が東京にいるんですけどね、すごくうるさいんですよ。税理士なんですけどね」

「まあなんとかその人にお願いするしかないと思うんですけど…」

「なんかそのー、ナルシンさんの借金の連帯保証人にされるんじゃないかって恐れてるみたいなんですよ。実印もついて印鑑証明書もつくなんて何されるかわからん!って。ちょっとその辺をできたら八木さんが行って説明していただけないですか?」

まいったなー。なんだかやっかいそうなことに巻き込まれそうだな。できればお客さんが勝手にやってもらった方がいいんだけど。でも横手さんが何度説明してもだめならやっぱり僕が行ってその人に説明するしかないだろうけど、もしいろいろ突っ込まれても僕は何も法人に関することを知らないし、まして相手が税理士っていうのが気になるんだよな。ま、店長と一緒に行ってもらえばいいかと思ったので、「いいですよ」と返事した。

「もちろん横手さんも一緒に行っていただけるんですよね」

「ええ、もちろんです!」

横手さんは一度電話を切ってからすぐ電話を掛けてきた。

「じゃあ明日15時に川井税理士さんの事務所でお願いします。私は先に行って話をしてますんで」

まあ横手さんもいることだし、店長も同行してくれればなんとかなるだろうと思っていたが、そう甘くはなかった。店長に明日、取締役会議事録のために同行してくれといったら、えらい剣幕で怒られたのだ。

「何をわけのわからんことをいってるんだね!なんでね、八木君がわざわざ契約じゃなくてね、議事録のために行かなきゃならないんだ?えっ?!あっ?!うっ?!」

「いえ、それは、横手さんだけではスムーズにいかないみたいなんで…」

「あのね、そうやってお客さんのいいなりになってたらきりがないでしょ。うちらがいって余計ややこしいことになったらどうするの?」

それはもっともな意見だった。契約者でもなんでもない人にうちが行って何かサインしてもらうとなれば余計いらぬ心配をされるんじゃないかと気になってはいたのだ。でも横手さんが自分だけではどうしようもないというのだから、なんとかこの案件を成約させるためにも、うちからきちんと説明するしかないなと思ったからそうしたのだ。

「それにね、まあ百歩譲って八木君が行ったとしてもね、なんで私が行かなきゃならないの?」

「それは、そのー、いろいろ詳しいことを聞かれたら店長にいてもらった方がスムーズにいくかなと思ったんで…」

「あのね、いつまでそうやって頼ってるの?もう会社に入ってから半年になるんでしょ?自分のことは自分でする。わからないからって誰かに頼ったらね、一生わからないままだよ。わからないなら自分で勉強して、やってみて、失敗してそうやって覚えてくんだよ。う?わかる?!」

いやいやそんなことは十二分も承知だけど、そうはいっても失敗は許されない仕事ではないかと思うから、念のため店長にも同行して欲しいと思ってるんだけど…。どの案件も一度限り。どこかでつまづいてしまったらその先には進めない。その案件自体をあきらめるしかなくなってしまう。まして店長が、新人の僕に行かせて「失敗したけどいい勉強だった」なんて言う訳はないのだし…。しかし店長が強くいっている以上、どうしようもなかったので、僕一人で行くことにした。

15:安心感を持たせれば勝ちや

翌日、川井事務所に行く途中で横手さんから電話が掛ってきた。

「すいません、今日ちょっと私、行けなくなっちゃったんですよ」

「えっえっえっ!そんな。じゃあ、今日は仕方がないんでキャンセルってことで、また別の日でってことでいいですか?」

「いやいや、八木さん、一人ですいませんが行ってくれませんか?」

「えっ?横手さんがいなくて、私一人なんてあまりに変じゃありませんか」

「いやいや、その辺はしっかり川井先生にもしっかり電話しておいて、ナルシンの八木さんが説明に来るからって言ってありますんで」

「そ、そんな…」

「議事録でしたら2人の署名がしてあるものを川井先生のところには送っておきましたので、川井先生から署名・捺印してもらったら持ってきてもらえればいいですから」

随分、手際がいいではないか。ひょっとしてはじめから来る気はなかったんじゃないか。

「八木さん一人で大丈夫ですから。私が行くとまた変にややっこしくなっても困りますしね、私もちょっとあの先生、苦手なんで、会うといろいろと喧嘩になってしまっても困りますんで、八木さんが1人の方がきっとスムーズに行くと思うんで、すいませんが、よろしくお願いします」

こりゃ、絶対にはめられたな。元から来る気などなかったのだ。理由は知らないが、僕が突然いって、議事録にサインしてくれっていってスムーズにいくんだろうか。それこそ横手さんが来ないことに腹を立て、サインなんかしてくれず追い返されてしまうんじゃないか。横手さんに相当苦手意識があるようだったが、そんな人を僕は説得できるんだろうか。

しかしなんだかそう考えるのがバカらしくなった。川井先生に会ってうまくいくかという心配よりも、横手さんのやり方に腹が立ってきたからだ。なんだよ、まったく。こっちは誰のために動いてるっていうんだ。苦手な相手だけ僕にまかせて自分は来ないなんて。うまくいかなくったって僕は知らないからなと、開き直りにちかい思いだった。