NICE SHOTとは?
たった500円の入場料。まったく違った5つのバンド。
観客とバンドの距離が近いというより同化しているスタジオライブ。
日曜日の昼間からやるという時間の妙。
「NICE SHOT」は、東京HELLOZが目指す「これまでの常識に捉われないライブ」を見事に実現していた。
「友達の付き合いから、仕方がなく高い金払って、休日をつぶしてライブに行ってきた」 。
そういったライブとは正反対のライブ。
一度ワンコインでこのイベントに遊びにきて見ることをおすすめしたい。
・NICE SHOTの魅力とは?
・「NICE SHOT」scene.7 at目黒マッドスタジオ 2006.1.8
前回の「外が見えるライブ会場」とはうってかわって、
戻ってきました、慣れ親しんだ地下2階の密室スタジオ、目黒マッドスタジオ。
慣れている会場だと不思議と落ち着きがあり、
それはスタッフも観客も、そして出演するバンドたちにもいえるようだ。
終始、なごやかな雰囲気が全体を包んでいるような印象を受けた。
<ライブ前のごぼれ話1>
開演2時間前の12時頃から、スタッフ、バンドたちがスタジオ入りし、
順次、リハーサルをやっていく。
スタジオはライブ会場用と待合室用に2室借りていて、
待合室は即席カフェのように、椅子とテーブルが置かれて、
スタッフやバンド同士の他愛もない話がまたなんともいえず楽しい。
ベルノバジャムズのヤスエ氏とEGのセンスイ氏との間で、
路上ライブの話が持ち上がっていた。
EQは路上でやったことがあるというのだが、
路上は観客の反応がダイレクトにわかるからおもしろいというのだ。
特に、日本人よりも外国人は必ず足を止めてくれるという。
そして聴き、よければそのまま居続け、気に入らなければ通り過ぎる。
そういう反応がはっきりとわかるという。
その話を聞いて私も「なるほどな」と思った。
外国人、特に欧米人の路上パフォーマンスに対する理解っていうのは、
日本人とはまったく違った感覚を持っているんだよなと、
私も海外旅行を何度となくして思うのだ。
どちらかというと日本人は路上パフォーマーに対しては、
冷たい視線というか無関心に通り過ぎる人が多い。
そこに立ち止まることが格好悪いということもあるかもしれない。
ところが外国人は、他愛もないパフォーマンスでも、
また、物乞いでも比較的足を止める率が高い。
そして一定時間見て聞き、そして判断し、そしてかなりの確率でコインを投げる。
たとえば、ハンガリーのホッロークーという世界遺産に指定されている、
古い伝統家屋の村の入口で、じじいがまるでその世界遺産を台無しにするがごとき、
どうしようもないトランペットの演奏をしていて、
それは押し売り物乞い同然に、通る旅行客に無理やり聞かせるのだが、
そんなじじいにも結構、外国人はコインを自ら投げるのである。
やっぱり文化というか考え方が違うんだろうな。
そんな路上ライブの外国人に対してヤスエ氏からおもしろい話が。
外国人のサイトでそういった路上ライブの映像を集めたサイトがあるというのだ。
超有名ミュージシャンのストリートライブ映像とか、
アメリカ中心らしいのだが、そこには日本の原宿との路上ライブ映像もあるという。
「どっかで知らないところで、もしかしたらEQの路上ライブ映像とかが流されているかもよ」
まさにネット時代。すごいおもろい話だよなーと思った。
ベルノバ・ヤスエ氏がリハに向かうと、今度はEQ・センスイ氏と、
VIDEO・大谷氏の間で「JPOPは何を通ったか」という話に。
きっかけは、東京HELLOZ・K太郎氏自宅で開催される「イエモンナイト」。
イエモンをこよなく愛するK太郎氏宅で、イエモンのCD&DVDを視聴しながら、
酒を呑み、イエモンについて語り合おうという企画ペラが配布されたからだった。
「B'Zは通った?」「やっぱり通った」「ユニコーンはいいね」「ユニコーンのアルバムで何が一番いい?」
「ヒゲとボインか。俺はね、ケダモノの嵐がいいんだよ」「えっ、JWALK?」「はじめに買ったCDは大事MANブラザーズ?」
とTHISBOXの意外な回答なども交えながら、ギター片手にイントロを弾き語りながら、
終始なごやかな「音楽論」が私の耳には新鮮な心地よさで伝わってきていた。
<ライブレポート>
1:THIS BOX
そんな前座があっていよいよライブがスタート。
一発目はTHISBOX。
THISBOXは2005年10月のNICESHOTで見ているので2回目なのだが、
前回と大きく変わった点がある。
VIDEOのギター・パトリックがドラムとして加わり、3人になったのだ。
これまで背が高くてすっごく細くって、まるで兄弟みたいな2人が、
60年代的?ファッションに身を包んだ姿が、
なんだかとってもかっこよくって雰囲気あるなっていう印象で、
そんな線の細い2人がサンプラー(いろんな音を録音してそれを演奏中に流して楽器として使う機械)の、
独特のリズムと不思議な音色をベースに、生演奏を重ね合わせて、
淡々とした高音の歌声をリフレインしていくような、すごく独特な音楽なんだけど、
そんな音楽にドラムが加わってどうなるのかなと思ったら、
これがまた実によくマッチしていてよりパワーアップした感じでとってもよかった。
音楽素人の私には、このようにしてバンドのメンバーが、
加わったり減ったり掛け持ちしたりってことが、しょっちゅうあるってことがとても新鮮なんだけど、
VIDEOにドラムが加わり、ドラムのパトリックがギターになり、
3人から4人になった時の見違えるような演奏ぶりになったことと重なって、
この新生THISBOXを見ていた。
ドラムが加わってこの独特のサンプラーとリフレインに厚みが加わった。
ドラムのパトリックがサンプラーという機械を真剣に見つめて、
そのはじまりとタイミングを合わせるかのようにしてドラムを叩き始める姿が、
なるほど、このサンプラーとうまく融合することが、ドラムが加わっても、
このトーンを壊さず、かつ、それにプラスアルファしていくドラム演奏のキーなのかなーと、
私は興味深く見つめていた(音楽的に合っているのかはわかりませんが、あくまで私の感想ですが)。
そんな音の厚みを強調するドラムが加わったことで、
前回にはないTHISBOXの新たな一面とも思える印象的な曲が、最後から2番目にあった。
線が細く小さな声が頭の中を響き渡るようなギターボーカル・レン氏の声が、
はりさけんばかりの大きな声が出ていた曲で、これが迫力あって圧巻だったのだ。
ドラムが加わったことだけが一因ではないだろうけど、
こんな力強い曲もTHISBOXで聴くとすごく新鮮でいいなと思った。
そんな新生THISBOXを見ることができ、次回も楽しみだなと思った次第。
2:大谷學(from VIDEO)
2バンド目は、毎回ホストバンドを努めるVIDEOが今回出ないというので、
VIDEOよりギターボーカルの大谷氏がソロで登場。
きっとソロでも何度かやっているんだろうなと思いきや、なんとソロ初ライブという。
開演前に必死で歌詞を書き込んでいる姿が印象的だった。
すごいなー。はじめてなんだ。
というわけで、はじめの曲はハマショーの「悲しみは雪のように」。
そうだよなー、初ライブじゃ、オリジナルなんてないよなと思いつつ、
大谷氏が歌い始めると、当たり前といえば当たり前なんだけど、
これがなんだかみんな大谷氏オリジナルみたいな曲に聞こえるから不思議。
選曲も大谷氏と絶妙にマッチしていてとってもよかった。
その他、スピッツの「空も飛べるはず」も聴き応えがあり、
VIDEOでお蔵入りになった曲というのも、確かに今のVIDEOでは考えられないけど、
VIDEOや大谷氏とはまったく違った一面を見たような、
そんな軽快な曲調ですごく新鮮な感じがした。
観客も大谷初ソロライブを温かく見守っているようなそんな雰囲気があり、
ライブというより、大谷氏を囲んだ弾き語り会みたいな感じで、
アットホームなライブでした。
3:ハズレッシヴ
そして3バンド目が、私ははじめて見るハズレッシヴ。
一体どんなバンドなんだろう。一体どんな音楽なんだろうかと、
いつもはじめてのバンドを見る時は期待が渦巻く。
でも東京HELLOZがセレクトしてきたバンドだから、
きっと何かがすごいに違いないとわくわくする。
演奏前に、前回NICESHOTで大活躍(大暴れ?)したSALADABAR・ODORU氏が、
「あっ、かわいいね」という声を聞き、よくよくバンドを見てみると、
手作り感たっぷりのおそろTシャツをバンドメンバー5人できていて、
胸に大きく「ハズレッシヴ」というでかでかアプリケと、
それぞれの背後にメンバー名の書かれたアプリケが確かにかわいらしく、
ますますこのバンドの音楽がどんなものか興味をそそられる。
そしてはじまった演奏。
驚き!いやー、一言でいうと「掛け合い漫才」のようなバンド。
思わずみんな笑ってしまう、そんな楽しい音楽ってあるんだって。
それが音楽のハーモニーになっているからすっと耳に入ってくる。
これが聴いていておもしろいんですよ。ぜひ一度聴いてほしい。
もちろんおもしろいだけじゃなく、聴かせるところは聴かせるんだけど、
歌詞もすごくおもしろくって、なんかこういい意味でかっこつけてないっていうか、
いい意味で背伸びせず、かっこつけず、流行を真似せず、
わが道をいく感があるけど、決して奇をてらっていないそんなバンドで、
すごく親しみがもてました。
またおもしろいのが一曲一曲の演奏で、シャッフルがごとき、
ボーカルがドラムになったり、ドラムがギターになったり、と入れ替わるのもまたユニーク。
こんなバンドもあるんだな。音楽ってほんと自由だし楽しいんだなって思えるバンドでした。
※観客のアンコールで「テニスボール」という名曲も歌われました。
4:猛
4バンド目が猛。
一曲目は数年ぶりに演奏したというキーボードを使った落ち着いた演奏だったが、
その後はバンド名のごとく、怒涛のように激しい曲が連続。
ボーカルの声やギター、ベース、ドラムの音が、
1つ1つ耳に響き渡るがごとき、連続する演奏はとても迫力がありました。
3人のメンバーがすごく一体となって1つの音を出している、
そんな感じがすごくしました。
5:ベルノバジャムズ
そして最後が、トリを務めたベルノバジャムズ。
待ってました!と思ったのはベルノバ好きの私だけではないようだった。
みんな「いよいよベルノバだ」っていう雰囲気がビシバシ伝わってきた。
司会のイデちゃんより、「ベルノバは暴れるんで、観客は注意してね」と、
わくわくするような案内が。
そう、ムチャクチャに、縦横無尽に演奏しながら動き回る、体当たりロックバンド。
期待にたがわず、一曲目から飛ばしっぱなしのベルノバジャムズ。
とにかく激しい!音楽だけでなく動きも激しい!
それがムチャクチャ心地よいんです。これが。
私は一番動き回るヤスエ氏に気をつけながら、その激しい瞬間を抑えようと、
カメラを構えて狙っていたところ、
なんと、ボーカル・ヤスエ氏ではなく、ベースのトモヒロ氏が、
ヤスエ氏を超える激しい動きにびっくり!しながらも、
それを契機に会場全体が火がついたようにノリノリに。
バンド演奏の背後では、背後の特等席を確保した東京HELLOZ・加藤代表が、
あまりの楽しさにまるでベルノバのバックダンサーのように、ノッっているのがまたいい。
戌年ということで、ワンワンワンワンひたすら吠えるだけ、
しかも吠えるのは観客という、実におもしろい珍曲を披露。
「前にライブでやった時はさむかった」というが、
今はベルノバが何をやっても盛り上がる雰囲気があるので、これまた、大盛り上がり。
前半は、終始、休む暇を与えず、怒涛の音楽ラッシュに大満足でした。
それにしても今回のベルノバで感じたのは、ヤスエ氏の目の使い方、トーク、動きが、
観客をうまく気持ちよくさせ、ライブに引き込んでいくのに非常に効果的だったこと。
本人はかなり飲んでたんでとのことだが、
計算されつくしたかのような、ライブ慣れした観客誘引術は、天性のものか。
音楽そのものもさることながら、観客をリードしていく術も実に卓越しているなと思って、
また私はベルノバを好きになってしまったのでした。
弦が切れてしまったので、「激しいベルノバ」バージョンから、
しっとり聴かせる名曲「海水パンツ」をはさんで、再び激しいモードへ。
こうしてライブ会場は異様な興奮につつまれたまま、新年一発目のNICESHOTが終わりを迎えました。
・「NICE SHOT」scene.6 at代々木SOUND
TOWERプレミアム 2005.12.4
黄金色に輝いたイチョウ並木を背景に、 5つのバンドが5者5様の音楽を奏で、
観客は5通りの音楽を、それぞれの音楽に合せて楽しんだ――
明らかに、いつもと違っていた。
毎月第一日曜日に開催されるスタジオライブ「NICE SHOT」は、今回で6回目を迎えていた。
これまで日曜日の真昼間から、外界の光が届かない、
地下のスタジオに籠ってのライブが行われてきた。
しかし、今回から場所が変わった。
2階。
外の景色が見えるのだ。
午後14時スタート。
あいにくの雨模様ながら、窓から見える景色はくっきりしていた。
観客の目には、バンドの姿だけでなく、紅葉真っ盛りのイチョウ並木も映り込んでいた。
意識するしないを問わず・・・。
音楽は耳で聴くものだが、ライブの場合、印象を形づくる大きな要素は視覚である。
バンドの姿、ライブ会場の様子、その他の観客、周囲の景色。
「徐々に陽が暮れていく、時の移ろいがわかる中でライブをしたかった」
このイベントを企画している東京HELLOZ代表の加藤淳也氏の狙いは、見事に的中したといえるだろう。
はっきりと見える紅葉景色をバックに、
激しいポップソングを奏でる「EQ」。
日が沈み、暗くなっていく闇を打ち負かすかのような、
“お祭り騒ぎ”を演出した「SALADA BAR」。
完全に暗闇と化した中、暗闇に同化し、
否、それ以上の深い闇を現出させた「真美鳥」。
街灯が景色をほのかに照らす中、
スタジオ一体をダンス会場に一瞬で変えた「PAYAN PAYAN」。
そして、最後。日曜日の夜の憂鬱さを吹き飛ばし、
明日からの息吹を強く吹き込んでくれた「VIDEO」。
それぞれがそれぞれのバンドのオリジナリティを、
時の流れとともに最大限に発揮したことで、
4時間半に及ぶまったく違った5バンドの、ややもすると散漫になりかねないライブを、
一本の糸でしっかり結んでいた。
観客はそれぞれの胸にそれぞれの5つの想いと想い出を持ち帰っていった。
1:EQ
会場が変わった一発目。
スタッフにも観客にも、いつもとは違った緊張が漂う中、
終始にこやかなVo.泉水を筆頭に、
緊張を楽しみに変えることを見事にやってくれた。
はじめてでもとても聴きやすいポップなメロディーながら、
時に激しく、時に情緒的に、そのメリハリがなんといっても魅力だ。
2:SALADA BAR
まるで観客を取り囲むように、スタジオの四隅に散った6人のメンバーが、
四方からノリのいい音楽&パフォーマンスを行い、スタジオはもうお祭り騒ぎ!
誰が観客で誰がメンバーなのかもわからなくなるほどごった煮の中で、
スタジオが一体となってノリにのった、そんなライブパフォーマンス。
最後のおまけに、すけぴょん氏の奇怪な(笑)ダンスに、スタジオは爆笑の渦だった。
3:真美鳥
ここではないどこか。自分がどこにいるのか何をしているのか、
そんなことをわからなくさせてしまう、非日常世界へと誘う不思議なバンド。
この音楽を聴いていると、見ているものがグニョグニョになっていくような、
そんな錯覚に捉われていく。
そして行けども行けどもその果てのない世界に、知らぬ間にどっぷりはまり込み、
動けなくなって見入ってしまう。
4:PAYAN PAYAN
観客すべてが我を忘れて踊り狂ったステージだった。
すべてはみんなで踊るための音楽。
軽快で楽しいダンス会場にスタジオを一変させたこのバンドの力はすごい。
ただ聴くだけじゃなく、体いっぱいで音楽を楽しもう。
そんなメッセージが伝わってくるようだった。
5:VIDEO
「おにぎり、誰か持ってない?」
Vo.大谷の声が突然変になった。そこで発した彼の言葉。
「おにぎり?!」。
ウケを狙ったわけではない。
受付さやこ嬢がどこからともなくおにぎりを仕入れてきて、
それを食べると、大谷の声は見事に復活した。
そんな一件もありつつ、今年最後にふさわしいライブを見せてくれた。
毎回ホストバンドとして登場するVIDEOだが、見るたびにパワーアップしていて、
そして聴くたびに思わず自分も歌を口ずさんでしまうような、
そんな音楽を聴かせてくれる。