アメリカの横暴を読み解く素晴らしい映画 By かさこワールド

・最高の反戦・反米映画「マジェスティック」
★★★★
いやー、久しぶりにあたりましたね。いい映画に会えましたよ。
「ショーシャンクーの空に」「グリーンマイル」の監督だけあって、まったく外れなかったな。
ただ両2作に比べると、はるかにメッセージ性が強い点はいいのだが、
映画の作りとしては多少、作り物ぽさを感じてしまう点がマイナスだけど、十分な映画ですよ、これは。

アメリカを愛するがゆえの「反戦」「反米」映画で、そういう意味では非常に説得力を持っている反面、
戦死者の犠牲を英雄視してしまうところなど、アメリカそのものを完全否定できない物足りなさはあるが、
それはまあ仕方がないだろう。というか、これだけやってくれれば十分だよ。

遠い過去のような「戦争」っていうのが僕にはなんだか非常に近い将来に起こりうる身近なテーマのような気がして、
戦争を知らない世代だからこそ、戦争の悲惨さとか現実みたいなものをこういう映画で知る必要があるし、
また、「プライベートライアン」のような過去の一戦争の賛美的な歴史懐古としての戦争映画ではなく、
イラク戦争、アフガニスタンン紛争などに堂々と殺戮をくりかえす今だからこそ、
「マジェスティック」のような映画は、非常に強い社会へのメッセージ性を持つ。

はじめの30〜60分ぐらい、ちょっとどうなるか心配だった。
このままこんなつまらないままで行くのかな・・・と。
しかし徐々にこの映画の本領を発揮していく。前半つまらないからといって投げ出してはだめだ。

大統領から戦死者のために送られた記念碑を前に、
下手な街の楽隊がアメリカ国家を演奏するあのシーンが忘れられない。
「国家」のためにどれだけの人々が犠牲になったのか。
それが果たして正義なのか。
アメリカ国歌とアメリカ国旗、映画でも登場人物に語らせているように、
「民主主義の国」であり「自由の国」であるはずのアメリカが、
北朝鮮やナチスなみの専制政治をしているさまが見事に明らかになる。
そこで苦しむのは国民だけ。
その犠牲となった人たちを「悲しみの街・ローソン」に凝縮させ、象徴させている。
いつもバカをみるのは国民で、政府や国家のおえらい政策のために犠牲になっていく。

あのバカスピルバーグの「プライベートライアン」は戦争を描いていながら戦争をまったく描いてないんだけど、
この映画は戦争シーンはなくても最もよく戦争の本質を描いている。
戦争の悲惨なシーンを超リアルな映像で再現しなくても(プライベートライアン)、
多くの若者を戦争でなくした「悲しみの町・ローソン」を描いたこの映画の方が、
はるかに戦争の悲惨さを訴えているではないか。
それが映画ってもんだ。

いい映画はネタばれさせたくないので、ストーリーの詳細は書かない。
前半はつまらんが、それも後半につながる序章だと思って、
まあポテトチップスなんか食いながらてきとーに見流してもらえれば、
僕のいった「アメリカ国歌が流れるシーン」あたりから、ぐっとこの映画のテーマに近づいていき、
後半は時間を感じさせることなく、おもしろく楽しませてくれる映画だ。


・現代のアメリカ社会の病理を見事に描き出した最高傑作!「24・シーズン2」
素晴らしい!
シーズン1の単なるエンターテイメント映画とはまったく次元が違う。
シーズン2のストーリーを描いた作家は素晴らしいな!!!
なぜアメリカが戦争するのか、アメリカの政治・経済・社会・国民の現実と病理を描いた、
血迷えるアメリカ国民すべてに送る最高の反戦映画であり、最高のメッセージ映画だ。
マイケル・ムーアの「華氏911」のような直接的なドキュメンタリー手法より、
アメリカ国民に今、アメリカが犯している過ちを端的に伝える方法としては、
この「24シーズン2」の方がはるかにわかりやすく、見事に描いて、しかも楽しめる、本当に素晴らしい作品だ。
ぜひ見て欲しい。
この作品を見れば、アメリカ社会の不可解な行動や現代アメリカ人が何たるかをよく理解できるだろう。

さて、ここからネタバレ注意。

アメリカのロサンゼルスで核爆弾テロが計画されていることがわかり、
初の黒人大統領パーマとCTU(テロ対策ユニット)のジャックバウアーが軸になって、
捜査、対応を続けていく。
核爆弾テロを計画実行した男(サイエド・アリ)は、中東人。
ところが、核爆弾テロを実行した裏には、アメリカ人の手引きがあった。

黒幕は、カスピ海の石油企業のアメリカ人。
テロが中東諸国の支援で行われたという偽造証拠を作らせ、
アメリカ政府が中東戦争をするように仕向けて、
自分たちに莫大な石油利権を得ようと考える。
ほんと、これはまさしく、大量破壊兵器があるとでっちあげ、
アルカイダと関係があるとでっちあげ、国連や他国の牽制を省みず、
何が何でも戦争をしたい、今のアメリカを彷彿させる設定だ。

戦争を起こしてぼろ儲けできる企業は、実に用意周到に各所に手を回す。
核爆弾を持ち込ませるよう、政治家、大統領側近、FBI、CIAなどを買収し、
実際に核爆弾テロを起こさせ、現大統領に開戦させるように仕向ける。
ところが大統領およびCTUのバウアーがテロ捜査でその真相に近づき、
中東諸国への報復攻撃を躊躇していると、
大統領の側近を買収して仕組ませ、現大統領が不適格である証拠を編集し、
権力ほしさや現大統領に不満を持つ副大統領や閣僚、政治家を煽動し、
合法的な手段で大統領を解任させ、何が何でも戦争をしたい副大統領に大統領代理を務めさせる。
核爆弾テロと中東諸国を関連づける偽造証拠を追うバウアーの捜査妨害をさせるために、
副大統領がCTU幹部を買収し、真相を追う捜査官を排除する・・・

莫大な石油利権、政治権力をえさに、政治、司法、警察などが、
本来の国益を考えず、地位や金や権力に目がくらんで、次々と戦争を起こさせるような方向になっていく。
これがまさしく、今のアメリカですよ。
これこそまさしく、911テロを分水嶺とした、アメリカの政策の実態ですよ。

私は911テロに対して、絶対にアメリカ人そのもの、アメリカ政府そのものが手引きし、
テロを起こさせ、報復戦争を起こさせ、それで軍事産業を筆頭としたさまざま企業が儲けをたくらんでいるといってきたが、
まさしくそのようなことがアメリカで起こりうるということを、
フィクションとして見事にこの作品が描いている。

そして、さらにこの作品が優れているのは、アメリカ国民がこのような事件が起きた時、
どんな対応をするか描いていることだ。
テロが起きると、アメリカ国民の多くが「中東系の仕業」と考え、
アメリカに住む中東系住民を迫害しはじめるのだ。
アメリカの国民のその愚かさを見事に描いているのは、
捜査に協力し、偽造証拠を運んでいる中東国の捜査官が、
偽造証拠を消そうと躍起になっている黒幕連中ではなく、
アメリカ国民に「ターバン野郎!」といって襲われるシーンだ。
彼らは単なる小市民。テロに乗じて中東系の人を見つけては襲い、金を奪うという、
これこそ、アメリカの政治家や利権企業のみならず、
国民そのものの愚かしさの象徴だ。
テロが起きるとすぐ中東と結びつける。
これこそ、戦争を後押ししている、ブッシュに投票するアメリカ国民の愚かなる心情がここにある。

テロの恐怖に日常的におびえる国民。
テロが起きると自爆自棄になり犯罪を犯す国民。
テロはすべてアラブ系の仕業だと思い込む国民、思い込ませるマスコミ、政治家。
それに乗じた利権企業。
国民心情が報復攻撃を望み、だからこそ報復攻撃をする大統領が信頼されるという構造が生まれる。
だからこの作品に出てくる、事の真偽を見極め、戦争を最終手段としか考えない大統領が、
合法的なクーデターによって解任させられてしまうという事態になる。
まさしく、アメリカ国民の愚かさの塊がこのようなことをさせているのだ。

この作品に出てくるパーマ大統領と捜査官バウアーは、事の善悪をしっかり見据えようとする、
いわば、アメリカ国民が実は心の底で願っている、
「本当の正義」に満ち溢れた、こんな大統領、こんな捜査官がいてほしいと願っている、
理想像的スーパーマンだ。
しかし、現実は、アメリカ国民の多くは、長期的大儀的目標より、
目先の金や権力や地位や自分の保身のために、誤った行動をとっている。
そういったアメリカ社会の病理構造を見事に描き出し、曝け出し、
そして最後は理想の大統領と理想の捜査官が、スーパーマン的働きで、
アメリカの誤った方向を救い、無実の人を殺さず、
真にアメリカに平和と自由と幸福をもたらすハッピーエンドでしめくくる。
まさしく、今、アメリカがのぞんでいるのは、
パーマ大統領のような人であり、バウアー捜査官のような人なのだろう。

しかし、この作家は、現実を見据えている。
それは理想論であって、アメリカの現実ではないと。
最後のシーンは、戦争をしない大統領を嫌う大いなる黒幕が、
大統領の暗殺事件を起こすところで終わっている。
アメリカの病理の深さをとことん国民に突きつける、悲惨な現実的な結末を目の前に見せるのだ。

ほんと、この作品は素晴らしい。
相変わらず、おかしな設定は随所に見られるし、
(たとえば偽造証拠は、キプロスで会話したことにしてるんだけど、
テロを起こしたアリはベルリンにいたといっており、
何も危険を冒してテープの偽造を暴かなくても、アリの旅券を調べれば簡単に分かること。
また信じられないことだが、テロ対策を行う専門部署のCTUが、
実にあっさり、CTUそのものが爆破されてしまうという、
テロ対策組織の特殊部隊としてはあり得ないこととか)
今回まったく事件と関係ない捜査官バウアーの娘のどうしようもない騒動とかはいらないし、
そういう無駄なシーンもあるんだけど、
(なぜ娘のしょうもないシーンを挿入するかというと、
アメリカ国民の理想のファミリー主義に訴えるため、最後のシーンで父娘の再会と家族愛を描くために、
いわばアメリカ国民の視聴者を喜ばせるためのものと思われる)
全体的に通底されている現代アメリカ社会の病理を描き出したメッセージは、
しっかり伝わってくるので、文句なく5ツ星にした。

なぜ、アメリカは戦争をするのか。
911テロ後の、尋常ならざるアメリカ社会の病理とは何か。
なぜ、好戦的なブッシュが選ばれるのか。
その答えの一端が、この24シーズン2に見事に描き出されている。

・華氏911

政治家の巧妙さ、国民の愚かさ、そして戦争の悲惨さを、
心に突きつける最高映画


私は少し心配していた。
「ブッシュを批判する者の溜飲を下げさせるだけの映画だ」という批評が気になっていたからだ。
私は2ヶ月前、アメリカでこの映画をすでに見ている。
言葉はほとんどわからかったが、でも映像はすべて見る限り、
銃問題をテーマにした前作「ボーリング・フォー・コロンバイン」より、
映画の完成度もドキュメンタリー性も落ちているかもしれないという懸念と、
確かに「偏った」映画と批判されても致し方がない部分があるかもしれないなと思っていた。
あらためて日本語字幕付でこの映画を見るにあたって、
もしかしたらそれほどたいした映画ではないという感想を抱いてしまうのではないかという心配がよぎっていた。

しかし、あらためてこの映画を見て、
しかも日本語字幕付のおかげで内容もある程度理解でき、
この映画はやはり非常に素晴らしい作品であり、
またここで取り上げられたテーマは、単にブッシュ批判にとどまらず、
人間の政治、経済、軍事、つまりは人間社会全体の問題にも通づるものがあり、
今を生きる多くの人間、特に「先進国」に生きる人々は、
この映画を忌避せず、しっかりと見届け、監督ムーアに賛成するとかしないとか、
そういう次元の低い問題にこだわらず、今の社会問題を考えるべきではないかと思った。

・戦争の悲惨さ
この映画では、まず無実のイラク国民を殺し続けることを問題にしている。
一部、報道になったが、米軍兵士がイラク人を虐待している事実もさることながら、
ムーアはもっと根底意識に迫っている。
イラクにいる米軍兵士が戦車内でCDをかけながら砲撃しているという事実だ。
「この音楽を聴くとぶっ殺してやるという気持ちになってノッてくる」みたいな発言をしている、
米軍兵士のインタビューがある。
また米軍兵士は口々に本物の人殺しという戦争にうれしそうに「スリルがある」と答えている。
米軍兵士にとってはこれは人殺しゲームなのだ。
そういう感覚で一方的な虐殺を行っている(もちろん一部だが)。

そしてもう1つ、これはわれわれ日本人の感覚には盲点かもしれないが、
イラクに派遣されて殺された米軍兵士の遺族の悲しみだ。
単に戦争の人的被害は、イラク国民だけではなく、アメリカ国民そのものにも及んでいる。
「何のための戦いなのかわからない」戦争に駆り出されて、殺されてしまう若い米軍兵士。
そしてそれにより悲しみを背負う遺族たち。
戦争の悲惨な輪は、自らの国民にも跳ね返ってくることをムーアは描き出すことで、
単にイラク国民が殺されてかわいそうだという「同情」論ではなく、
それは自分自身の人生や家族にも不幸を招くものだということを描き出している。

・不況をネタに貧困層をイラクへ
経済不況で失業率がどうしようもない過疎化の町のウルトラC対策として、
このイラク戦争を契機に軍隊募集を行っている。
滑稽なのはある町ではスカウトまでいることだ。
駐車場や学食や道端で、軍隊に入らないかと誘う軍人。
失業率17%以上の町で、軍隊に入れば給料ももらえる、学費も援助されることをエサに、
軍隊に引き入れ、イラク任務を押し付ける。
その一方で、イラク戦争に賛成している上院議員の子供たちは、
軍隊に入っている人も多いにもかかわらず、1人しかイラクに派遣されていないという事実。
ムーアがその矛盾した事実をつきつけ、
議員たちに「戦争に賛成ならその手本をみせるべく、あなたの息子をイラクに派遣してはどうか」と、
議員たちを直撃するが、誰もそんなことにのるはずもない。
結局、政治家たちは、戦争賛成といっても自分の血を流すことはしたがらず、
戦争で莫大な利益を得ることに夢中になっているのだ。

・テロという恐怖心を煽り、戦争を賛成させるマインドコントロール
アメリカ国民は「テロ」の影響で完全に狂ってしまっている。
政府がひっきりなしに「テロ警戒レベル」を上げたり下げたりして騒ぎ出す。
到底テロなど起きそうもない小さな町にまで名指しで「テロ警戒」を呼びかける。
すっかりアメリカ国民はテロ脅威におびえてくらす始末。
それを巧みに利用し、国民を政治家のいいように操っている状況が、
911テロ後に現出している様子が見事に描かれている。

しかも恐ろしいことにあの「自由」と「民主主義」を標榜するアメリカは、
911テロを利用し、「愛国者法」なる法案を可決させ、
国民の権利を「テロ防止」という名目のもと大幅に制限できる法律を可決した。
国民の個人情報を政府が簡単に見れるようにするなど、
はっきりいって完全な独裁国家となりつつあるが、
国民は「テロの恐怖」を煽られているからそのことに何の危機意識も持たない。
まさしくこれが国民を政治家のいいなりにする巧妙な情報操作だ。

・軍事産業の莫大な利益
なぜアメリカ国民にテロの恐怖心を煽り、戦争に賛成させるか。
そこには政治家がかかわる企業の莫大な利益があるからだ。
単に兵器産業にとどまらず、石油ビジネスや復興ビジネスにもぼろ儲けできるチャンスがあり、
それが戦争を取り仕切る国の事業として企業に発注することで、
それこそ日本の政・官・財の癒着状況がこのアメリカにも生まれている。
だから企業は戦争に賛成する。

ブッシュ大統領の側近にはこういった復興ビジネスに関わる会社の人間も多いし、
ブッシュそのものが兵器産業を持っている企業グループに深く関わっている。
つまりは、国民から絞り上げた税金を、戦争で使い、その使い先が自分の企業グループに還流し、
税金を食い物にしているということだ。
すべてはそのための戦争。正義なんてどこにもない。ただあるのは金儲けだけだ。

アフガニスタンのカイザル大統領などアメリカが要職に任命した人々も、
ブッシュと関係の深い企業グループの元社員だった人間が多いということも、
実にこの問題が根が深いということを思い知らされる。

・911テロの放置
そしてこの映画では911テロへの対応をブッシュ大統領が故意にしなかった証拠が次々とあげられている。
まずテロ直後で全米中の航空機が正常な運行状況を回復していなかった9/13に、
なんとビンラディン一族のサウジ人のアメリカ出国をFBIが許可し、
いわば事情聴取なしに「わざと」逃がしている記録がしっかり残されている。
さらには事件が起きた調査委員会の設置をブッシュ大統領自らが圧力をかけ、設置を延期させたり、
テロ調査委員会の報告書を政府が「検閲」するなど、信じられない行為が起きている。

当時の調査官はブッシュ大統領に「テロがイラクと関わっている証拠を何でもいいから持ってこい」
といったそうだ。
「イラクが関わっている証拠はない」といっているにもかかわらず、執拗にイラク証拠を見つけ出せと、
ブッシュが迫ったという。
もちろん、このテロをイラクのせいにすれば、念願のイラク戦争ができ、
石油を欲しいままにできるという思惑からだ。

とにかくブッシュ政権はなにがなんでもイラク戦争をしたかった。
だからイラクに「核兵器を所有している」「化学兵器を保有している」「生物テロ兵器を保有している」
ということを捏造し、戦争に踏み切った。
そんな背景はすでに911テロの時から現れていることがわかる。

そもそも911テロの1ヶ月前に、ブッシュ大統領にビンラディンが飛行機ハイジャックテロを行うと、
FBIだかCIAが警告していたにもかかわらず、
(その書類をブッシュ大統領に渡す写真なども映画で公開されている)
ブッシュはゴルフや魚釣りに興じる始末。
911テロが起き、知らせを受けてから7分間、
ブッシュは小学校の朗読会に参加し続け、子供たちの朗読を聞き続けていたというおそるべきありさま。
911テロで亡くなった多くの被害者の気持ちからすればこんな大統領は即刻首だろう。

・サウジとブッシュの密接な関係
もともとビンラディン一族などサウジからの献金で強力に結びついているブッシュ一家。
いかにブッシュ一家が何年も前からサウジやラディン一族との関係が深いか、
ということもこの映画でしっかり流されている。
だからこそブッシュがテロの原因追求をしっかりしなかったのかがわかる。

<総論>
今回あらためてこの映画を見たが、
いかに政治家が巧妙に自分たちの権力保持と利益追求のために、さまざまなトリックを施しているか、
国民をコントロールするために「テロ」という脅しを悪用しているか、
など、この問題が実に根深く、すさまじいかを思い知らされる結果となった。
「偏った映画」などと批判されているが、じゃあ、ここで取り上げられていることに、
真正面から答えられるのだろうか。
ブッシュとサウジの関係。ラディン一族を9/13に出国させた経緯などなど。

私はあらためて911テロがアメリカ政府の自作自演によるものとの認識を強めた。
(ムーア監督は映画でそこまではいっていないが)
そもそも世界の軍事大国アメリカたるものが、同時に何機もハイジャックされ、
しかもニューヨークのビルに飛行機が突入されるまで、どこも気づかない、
どこも防げないってこと自体、非常にあやしいわけで、
しかも見事に民間人ばかりが犠牲になり、
狙われてしかるべきホワイトハウスやブッシュ大統領が無事であることを考えると、
また、このテロが起きて誰が得をしたのかを考えると、
政府の自作自演テロ説は実に信憑性を帯びてくる。
まあ自作でなかったにせよ、この映画で明かなように、
テロという「恐怖」を使って国民を手なずけ、洗脳し、
政府のいいような政策に持っていったことには間違いない。
実に恐ろしいことだと思った。

これはぜひ映画ではなく、テレビで放映し、
映画で取り上げられたさまざまな問題を解説しながらやっていくと非常にいいと思う。
というのも映画ではさまざまな複雑な問題やさまざまなブッシュ関連の人々、会社名などが、
矢継ぎ早に出てきて、事実関係を認識するのが早すぎて難しいからだ。
あとは、これは完全にアメリカ人向けに作られているアメリカ人の映画で、
私はこの映画をアメリカで見た時のアメリカ人の反応と、
今回、日本で見た日本人の反応(というかほとんどアメリカ人が反応したところに反応できなかった)
を考えると、日本で映画をやっても、せっかくの「いい」映画なのに、
あまり影響力がないのではないかと危惧している。

そもそも日本人が映画を見る動機は「泣きたい」とか「格好いい俳優が出てる」とか、
「ストレス解消」「気分よくなりたい」といった、日常からの逃避的要素が強いわけで、
「映画でわざわざ難しい、考えさせられる社会問題、しかも国内問題ではなくアメリカの問題なんて見たくない」
というのが圧倒的多数の映画視聴者の正直な感想ではないか。
現に、アメリカであれだけ大反響だった映画も、
私が見に行った8/28(公開1週間後の土曜日)にもかかわらず、
観客は半分ぐらいしか入っていなかった。
何を思ったかカップルで来ている人が多かったことも驚いたが、
あの映画がデートになるとは思えないしなあ。

そういう意味で、この映画で取り上げている重大な問題は、
ぜひテレビで特番なんかで取り上げながら、
アメリカの政治的背景、軍事的背景、経済的背景を交えながら解説しつつ、
この映画の映像を流していくといった方法であれば、
多くの日本人が「目を覚ます」契機になるのではないかと思う。

この映画で取り上げられた問題は実に重い。
単なるブッシュ批判をして人気を得ようという堕落映画ではなかったことを明言しておく。
ぜひ今、この時期に、この映画を多くの人に見てもらい、
ここで取り上げられた問題が他人事ではないということも含めて、いろいろと考えてもらいたいなと願う。

※参考までにアメリカでこの映画を見た時のアメリカ人の反応レポート(7/1つぶやきに掲載)
も下記にのっけておきます。

・「華氏911」in アメリカ
ディズニー社がブッシュのお膝元での税制優遇に影響が出ることから、
このブッシュ批判ともいえる映画の配給を断ったというニュースを以前つぶやきで紹介し、
その後、カンヌで最高賞を受賞し、一体どこで見れるのだろうかと思いきや、
アメリカで無事6月末から上映になったようだ。
ヤフーニュースによると大変な人気らしい。
取材を終えると一目散に映画館に行ったが、18時30分、19時10分はすでに売り切れ。
仕方がないので21時10分の回を購入する。
(ちなみに9.75ドル。日本の映画館より安いんじゃないか)

外国で映画を見るのははじめてだったので30分ぐらい前に再び映画館に。
するとこのソニーがプロデュースした最新設備が整い、
15のスクリーンを持つメトレオンともあろう映画館が、座席指定ではなく、長蛇の列ができている始末。
まったくハードがよくったてこういうソフト面での充実度がないと、最新設備も意味なしだよな。
ものすごい長蛇の列に現地の人もため息をついていたので、
いかにこの映画の人気が特殊かということを示していると思う。

過去の出来事ではなく、まさしく現在の政治批判したドキュメンタリー映画なるものが、
これほどの人気を集めるのは政治がショー化されたアメリカならではか。
たとえば小泉政権を批判したドキュメンタリー映画が日本で上映されたとしても、
そんなに人が入るとは思えない。
いや、この映画が日本で上映されたとしてもこれほどの反響はないんじゃないかなと思う。
ハリーポッターに列をなす日本の映画視聴者がブッシュの政治批判映画を見るとは到底思えない。

平日、火曜日の夜21時。これから2時間映画というにもかかわらず、ものすごい列。
20代後半から30代が圧倒的に多く、みなラフな格好をしてはいるが、学生には見えない。
仕事帰りに見に来たのだろうか。
男女比は半々ぐらい。友人同士で訪れているタイプが多いが、カップルで来ているのも結構見受けられる。
政治批判ドキュメンタリー映画なのになあ。
あまり関係ないのかな。
特徴的なことは黒人はほとんどいない。アジア系もほとんどいない。
町を歩いている感じの人口比率とは明らかに違い、白人ばかりである。

映画館スペースはざっと25列×30席あまりか。
にもかかわらず見事に満席である。
15分ぐらい宣伝が流れる。
日本でも最近、くだらん宣伝を少なくし、いきなり映画に入るものが多くなったように思うが、
アメリカはまだまだなのかなー。
いきなりコーラの宣伝とかやるし。

21時10分開場で本編が始まったのは21時40分。
ここからがいかにも「アメリカ」なのだが、宣伝が終わり、本編に入ろうとすると拍手が起こる。
さらにマイケルムーア監督の名前が出るとこれまた拍手が。

映画はまず2000年の大統領選挙の模様から。
ブッシュが極めて接戦で勝ったことから始まっている。
もしあの時、ブッシュではなかったら・・・と思わざるを得ない。

そして2001.9.11。
真っ暗な映像のまま、その時の音だけが流される。
これにはさすがのアメリカ人もしんと静まりかえるし、
私もこの時ばかりは、なんともいたたまれない気持ちというか、
なぜこのような世界になってしまったのかと考えざるを得ない。

実はこの事件が起きた時、ブッシュはとある小学校の朗読会みたいなのに参加していた。
事件の一報を側近が伝えたにもかかわらず、7分間彼はその朗読会に参加していた映像が流される。
またテロが起きる1ヶ月前、テロが起きる可能性をさまざまな機関が指摘していたにもかかわらず、
それに耳を傾けないブッシュという意味で、8月のアホずらブッシュのバケーション様子が流される。
ブッシュの言動にたびたびアメリカ人は、
日本でいうところの昔バラエティ番組なので、やらせの非常にわざとらしい観客笑い声そっくりなのが、
館内に何度となく響きわたる。
彼らは本当におもしろいのか、それともそういう笑い方なのか。

ブッシュのグループ企業とターリバン、ビンラディンと密接な関係であること、
911テロ後、アフガン攻撃、さらにはイラク攻撃で、
これまたブッシュのグループ企業が石油に限らず、軍事部門や派遣された軍人へのサービス企業などで、
いかに儲けているかが流される。
彼がなぜそれほどまでに戦争に固執するのか、これを見れば一目瞭然だ。
グループ企業の金儲けのためだ。

イラク戦争のかなり悲惨な映像なども流され、館内はしんとしている場面が少ないのだが、
どうもアメリカ人はあのわざとらしい笑いをするために映画を見に来ている節があり、
またマイケル・ムーア監督の手法としてシリアスなテーマも、
皮肉に笑い飛ばす映像が作られているから、結構館内はあのわざとらしい笑い声が何度も聞こえてくる。

あと非常にアメリカ的だなと思ったのは、
多分反戦的なことをいっている人のインタビューとかが流れると、それに拍手をするのだ。
テレビが友達というか映像が友達というかネットが友達というか、
バーチャルな世界と現実世界の区別が最もつかないのはアメリカ人ではないかと思った。
だから政治も戦争も殺人事件もショーとして見れるのではないか。

2時間ぴったり、とてもシリアスなテーマで、とても深刻な問題をひめた、
現政権批判、現大統領批判映画が終わると、
なんだかそんな深刻さが吹き飛んでしまうような、口笛とか拍手が聞こえてくる。
「よくぞマイケルムーア、大統領を滑稽に描いてくれたぜ!」みたいな、
バラエティー番組を見ている感覚で見た人もいたのではないかと、
過剰なリアクションをする人々から読み取れたが、それが大多数ではないので、
きっとみなそれぞれがはたしてこの国をブッシュに任せていいのかということ、
世界各地で戦争をしまくっている現政権の政策が正しいのかということを考えた、
いや考えてほしいと思った。

この映画は戦争の悲惨さをこのバラエティ好きのアメリカ人向けに、
うまくエンターテイメント化して見せている。
この映画がアメリカで大ヒットしていることの意味は大きいと思う。
クレイジーな世界をまっとうに戻すことができるのは、
もしかしたらこの映画を見たアメリカ人にかかっているのかもしれない。
しかに映画にも描かれていたように、ブッシュ支持派もいるし、
狂信的とも思える国家主義が国民に根付いていることも確かだ。

クレイジーな国、クレイジーな世界を変えられるには、
アメリカ国民自らが変わらなければならないと思う。